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2021/06/01 09:20



「沁みるなぁ…」
久しぶりに帰郷した食卓にもしそれが登場したら思わず頬が緩んでしまう…そんな故郷の味、きっとあなたにもありますよね?木曽生まれの私にとってはそれが「すんき」。軽く醤油を垂らしただけでも勿論おいしいのですが、できれば味噌汁で味わうのがマイベスト。独特な酸味と、その向こうからやってくる旨味のハーモニー、心に沁みるんです。

木曽で育った赤かぶの菜を使い、塩は一切使わず、植物性乳酸菌の発酵作用のみで作られるすんき。木曽の家々では昔から「我家のすんき」を作ってきました。
「すんきを作る部屋には塩気を入れないように」とか、「〇〇さんの作ったすんきは美味しいから教えてもらいたい」等々、コツコツ重ねられた努力なくして、すんきは、三百年の歴史を持つ伝統食品という称号を手に入れることはできなかったに違いありません。



ところで。数年前まで木曽では、すんきの作り手たちがその年の「すんき名人」の座を競うコンクールが行われていました。そこから多くの「名人」「達人」が誕生し、味のレベルアップにも貢献するという一定の成果を得たところで終了となりましたが、ある時、そのイベントに登場したゲストの放った一言がとても洒落ていて、会場がどっと沸いたのを覚えています。

「すんきは乳酸菌の気まぐれオーケストラだ!」

そのゲストとは、木曽で生まれ育った俳優の田中要次さん。ドラマや映画の仕事の傍ら、機会がある度にすんきのPRをしてくれる「すんき大使」でもあります。
気まぐれなすんき乳酸菌をうまくコントロールしてこそ生み出される酸味と旨味の絶妙なハーモニー。要次さんはその一言で、会場に集っていたオーケストラの指揮者、つまり、すんきの作り手の皆さんにも賞賛とエールを贈っていたのでした。 

拝啓、田中要次様
「木曽フィルハーモニーすんきオーケストラ」が奏でる今シーズンの名演奏も…きっと、沁みますよ。



Text by 小林夏樹

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