独立峰としては富士山に次ぎ、日本第2位の高さを誇る木曽の御嶽山。その高さは、なんと標高3,067m。山頂部には5つの火口湖があり、その独特な景観と、豊かな動植物が魅力です。またロープウェイを利用すれば標高2,150mまで一気に上がることができ、日本屈指の絶景を手軽に楽しむこともできます。
今回は、安曇野市は常念岳の麓に生まれ、これまでに50峰以上の山を登ってきた生粋の山好きである、KISO ORIGINAL編集部メンバーの望月が、夏の御嶽山登山をレポート!紅葉シーズンに向けた情報や、登山の前後で楽しめるスポットも紹介します。
※登山の際は、登山計画書の提出が必要です。詳細は
こちらをご確認ください。
※登山の際は必ず最新の情報を各自ご確認の上、噴火に備え、ヘルメットの着用、緊急避難場所の確認など万全の注意をして入山しましょう。入山規制等についての情報は、王滝村ホームページなどから確認できます。
|主な登山ルート
御嶽山の登山ルートは長野県側、岐阜側双方にあり、長野県側は主に、王滝口、黒沢口、開田口の3つのルートがあります。
-王滝口ルート
登山口である田の原の標高が他の登山口と比べ最も高く(2,160 m)、山頂への最短往復コースとして人気のルートです。
-黒沢口ルート
ロープウェイで7合目まで登ることができるため、一般の観光客の方にも人気のルート。ロープウェイを利用しない場合は、中の湯登山口から徒歩で登ることも可能です。
-開田口ルート
山頂までの距離が長く、コースタイムも長いため、比較的登山者の少ないルート。静かにゆっくりと登りたい方にはおすすめかもしれません。お車の際は、駐車場まで1kmほどオフロードとなります。路面状況は悪くありませんが、狭路なので注意が必要です。
今回は、中の湯登山口から登った「王滝口ルート」の御嶽山登山の様子をお届けします。
|絶景!夏の御嶽山登山。
◉出発
前日は木曽福島駅周辺で宿をとり、朝6時前に宿を出ました。中の湯登山口までは車でおよそ45分。道中には、すでに多くの「
御嶽霊神碑」が連なります。途中、大きな鳥居の奥にこれから登る御嶽山が綺麗に顔を出しました。胸が高鳴ります。登山口駐車場についた7時頃にはすでに多くの車が。日曜日だったため、前日から泊まりの方も多いのでしょう。
◉山頂まで
6合目にあたる登山口をスタートして、7合目の行場山荘、8合目の女人堂までは階段が多く、比較的整備された道を進みます。
▲行場山荘では、すんき汁やお餅などを食べながら休憩することができる。
御岳ロープウェイの乗り場からすぐのため、山登りまでせずとも気軽に景色を楽しむことができ、一般の観光客も多く訪れる。
▲途中、山小屋に物資を届ける「歩荷(ぼっか)」の方も。
写真に映る荷物以外も多くの荷物を背負っていた。
女人堂から先は、階段が消え、一気にガレ場が多くなります。標高が高くなるにつれ、徐々に森林限界を超え、雲の上の世界に。景色に見惚れながら歩を進めると、9合目の石室山荘が現れます。山頂の剣ヶ峰までもう少し。
▲山頂の剣ヶ峰が目前に。
◉いよいよ山頂、剣ヶ峰へ
山頂手前にある、避難用のシェルターを過ぎ、最後の石段を登るといよいよ山頂です。白い鳥居をくぐると、御嶽神社頂上奥社が現れ、振り返ると、いままで登ってきた山道の奥に絶景が広がっていました。
▲写真中央やや左手の奥に、うっすらと富士山が。
◉二の池・三の池まで足を伸ばし、下山
天気が良くそのまま下山するにはもったいなかったので、三の池までいってみることにしました。二の池は噴火時の火山灰の影響で現在干上がってしまっていますが、三の池は綺麗なエメラルドグリーンでした。
▲山頂から見た二の池と二の池山荘、二の池ヒュッテ。
その奥、左側に見えるのは摩利支天山。
▲二の池ヒュッテから摩利支天へ向かう道中、ふと後ろを振り返ると絶景が。
▲稜線好きにはたまらない、摩利支天への道。岩岩の表情がかっこいい。
▲エメラルドグリーンの湖面が美しい、三の池。
▲三の池沿いの気持ちの良い稜線を行く。
▲道中、運良く雷鳥にも出会えた。けっこうな数が生息していて出会える確率は高いよう。
▲信仰の山ゆえ、道中、白装束をまとった何人もの信者さんともすれ違う。
絶景を心ゆくまで堪能して、下山。この時は、三の池から女人堂をつなぐ山道は規制がかかっていたため、同じ道をピストンで戻りました。
|御嶽山とその歴史を学ぶ。登山前に立ち寄ってほしいビジターセンター。
2022年8月、御嶽山を知り、火山を理解し、次世代につなげることを目的とした、「
御嶽山ビジターセンター」 が王滝口ルートの登山口と、麓にある道の駅三岳敷地内の2箇所にそれぞれオープンしました。御嶽山の最新の火山情報はもちろん、歴史、文化を楽しく気軽に学ぶことができます。登山前後の休憩場所としての利用も可能です。
▲王滝口ルート登山口側にある「山テラス」での展示
▲地質時代に初めて日本の地名が付けられた「チバニアン」。実はこの「チバニアン」の始まりの年代は、約77万年前に御嶽山が噴火した際、放出された火山灰の地層(白尾凝灰岩層)を基に推定されているそう。御嶽山の火山灰が千葉まで飛来したというから驚きだ。
▲道の駅三岳敷地内にある「里テラス」にて展示されている2014年の噴火時の噴石で曲がった手すり
▲修復された現在の手すり
2014年に起きた御嶽山の噴火では多くの方が犠牲となり、日本における戦後最悪の火山災害となりました。御嶽山を含め、日本には活火山が100峰以上もあるそうです。山は美しい自然を享受できる一方で、危険も伴います。火山に限らず、山に限らず、自然においては、正しい知識を身につけて、可能な限りの安全対策を行なって楽しむことが大切です。御嶽山登山を検討される際は、ぜひ登山前にビジターセンターに立ち寄ってみてください。
|登山だけじゃない!山頂に登らずに楽しめる御嶽山の絶景。
登山の魅力ばかり紹介してしまいましたが、御嶽山は山頂まで登らずとも、1年を通じてさまざまな絶景が楽しめます。記事の最後に、黒沢口ルートにて紹介した
御岳ロープウェイを利用して手軽に楽しむことができる絶景スポットをいくつか紹介します。
◉標高1570m | 天空のお花畑
御岳ロープウェイの麓側の起点となる山麓駅(鹿ノ瀬駅)には花畑があり、6~9月はサルビアやマリーゴールド、ベゴニアなどを見ることができます。
◉標高2,150mの大パノラマ | 山頂駅屋上展望台
御岳ロープウェイの山頂側の飯森高原駅には、山頂駅屋上展望台があり、中央アルプス・北アルプス・乗鞍岳などの大パノラマを楽しむことができ、天候が良ければ綺麗な雲海を見ることもできます。
◉全国でも屈指の紅葉スポット | 10月中旬頃までが見頃
飯森高原駅から「しらびその小径」を経由して御嶽山の八合目を折り返す登山コースは、全国でも屈指の紅葉スポットです。燃えるように真っ赤に色づいたナナカマドや、黄色く色づいたダケカンバが鮮やかに御嶽山を彩ります。紅葉時期の目安は9月中旬から10月中旬です。
※ロープウェイの運行期間は例年4月下旬~11月上旬。夏休み期間と紅葉シーズンは毎日運行、それ以外は土・日曜、祝日運行です(要問い合わせ)
Edit by KISO ORIGINAL
写真記事協力 : 木曽おんたけ観光局